メモ書き
ブライアン・トレーシー 「達成の心理学」
03 潜在能力を引き出す
潜在能力について考えるとき、なぜ人によってこんなに実績の差が出るのだろうと思ったことはありませんか。 年収25万ドルを稼ぐ人は年収が2万5千ドルしかない人より10倍優れているかといえば、そんなことはありません。 では、なぜそんなに差が出るのでしょうか。 中には年に250万ドル稼ぐ人もいますが、彼らは年収2万5千ドルの人よりも100倍も優れているのでしょうか。 とんでもない。 最近行われたIQ調査で千人の男女を選んで彼らのIQについてテストをしてみましたが、このうちトップの人と最下位の人の差はたったの2.5倍しかないことがわかったのです。 その差はたったの2.5倍だったのです。 おそらく、この数字は統計としても正しいでしょう。 ではなぜこのような差が出るのでしょうか。
この潜在能力について数年前、私が非常に簡単な公式を思いつきました。 その話を少ししましょう。 最初の公式と言うのは、生まれついての先天的特質というもので、特質、知性、能力、気質などです。 生まれつきのものは容易には変えられません。 それにプラス、後に身に付いた後天的特質です。 この後天的特質が大切なのです。 これは教育、トレーニング、技能、経験、知識、知恵などです。 これに、Attitude、すなわち、あなたの心構えを掛けたものが、潜在能力、あるいは、個人的才能、個人的性格ともいうべきものなのです。 これらの3つのうち先天的特質は殆ど変わりませんが、後天的特質は変えられます。 ただ、普通はかなり時間が掛かりますが、急速に変わることもありえます。 ちょっとした効果的な情報によってうんと能力が付くことがあります。 心構えというのは、一瞬のうちに良くも悪くもなります。 ですから、一瞬一瞬の心構えを大切に生きることで、あなたの可能性は増幅するのです。 正しい心構えを身に付けることで、能力も向上します。 ですから、心構えは人間の能力を考えるときに非常に大切なキーワードとなるのです。
優れたリクルーターを対象としたハーバード大学の研究によれば、人間の行動の85%は心構えを反映しており、成功の85%はあなたの心構えで決まるということです。 つまり、どのくらいPMA、積極的な心構えを持っているかが大事なのです。 積極的な心構えを持つ人はより早く前進し、より早く企業のトップになり、高い収入を得、満たされた人生を送るのです。
ところで、積極的な心構えと言っても、これは何もはしゃぎまわることではなく、あなたは常に仕事や人生、問題、人間関係などに対して、建設的な態度で取り組むよう心掛ければいいのです。 サクセスマガジンに掲載された、アメリカのビジネスに関するボックスレポートによると、成功の85%以上が心構えによるというのです。
そこで、一つ質問。 心構えとは、どこから来るのでしょう。 それは、期待から来るのです。 簡単なことです。 前にも言いましたが、心構えを劇的に向上させる方法は常に自分に対して、今日は必ず自分にとっていいことが起こるということです。 前にも言ったように、結果への期待が心構えを決めるのです。 別の言葉で言えば、いつも良い結果を期待すれば、態度も積極的になりますが、消極的な期待には、態度も消極的になります。 期待は自分で作れるものです。 良いことでも、悪いことでも、強く期待すれば叶うのです。
では、期待とはどこから来るのでしょう。 こうした期待は、信念から来るのです。 言い換えれば、価値観からです。 期待とは、人格や信念、価値を形成する中心的要素だからです。 ここで、人間の潜在力を理解することが大事になります。 心構えとは、今まで挙げてきた心の法則によれば、基本的に内面が外に表れたものです。 また、信念について言えば、私たちは心の奥底にいろいろな信念を持っていますが、これが、心理学者の言う、自己概念なのです。
自己概念というものの発見は、多くの人々によって20世紀における、人間探求の最大の手掛かりとされていますが、私もまったく同感です。 自己概念とは、軍隊にたとえるなら、最高司令部のようなものであり、科学にたとえるなら、コンピュータの中心プログラムのようなものです。 それは、心の根底にある一連の信念、価値観、心構え、感情、アイデアであり、あなたが今までの生活の中で積み重ねてきたすべての経験の反映なのです。 自己概念の形成は、誕生以前からはじまっているという研究者もいます。 そして、一旦形成されると、人生のすべての段階で、あなたの行動はあらかじめ決定付けるのです。 自己概念は最高司令部であり、マスタープログラムとなるのです。 あなたが何を良い、どのように行動し、どう感じるか、すべては自己概念の命令なのです。
どういうことでしょう。内的生活の向上や、実生活の生活の向上は自己概念を変えることによって、はじめて生じるのです。 どういうことか説明しましょう。 ここに簡単なグラフがあります。 私たち普通の人間は、普段潜在能力の10%かそれ以下しか発揮していません。 それ以下という報告もあります。 サンタクラウにある、スタンフォード研究所は、たった2%としてるくらいです。 ですから、10%というのは、かなり甘いかもしれません。 最高に発揮したとしても、私たち一般人の潜在能力の90%も眠っていることになります。 偉大な哲学者、オリバー・ウェントルホームズは、私たち一般人の悲劇はその能力が開花しないまま終わってしまうことだと言いました。 潜在能力の大部分は眠ったままなのです。 潜在能力とはそうしたものなのです。
人間の潜在能力と自己概念は、密接に結びついています。 でも、我々の自己概念、言い換えれば、自己評価があまりに低いのに、100%実力を発揮するなんて無理な話です。 自己概念は主犯的なものです。 どういうことかと言うと、自己概念、すなわち、自己評価は、現実ではなく、私たちの思い込みに基づいており、それが強ければ強いほど、私たちの行動に影響しますから、結果的に、現実になりやすいのです。 星占いを熱狂的に信じていれば、実際、その通りになるのです。 尊敬もしてない人からの批判を正しいこととして受け入れてしまう人もいます。 何でも本当だと信じれば本当のことになるのです。
人間は、成長すればさまざまな自己概念を持つものです。 たとえば、洋服の趣味、体重、食べ物、人前で上手く話せるか、子どもに対してはどんな親か、親に対してはどんな子どもか、夫として妻として恋人としてはどうか、自分が運転をするか等です。 ところで面白いことに、男性は運転に関しては、絶対的な思い込みを持っているようです。 女性はそうは思わないのですが、男性は生まれつき運転のセンスがある、男性こそ良い運転手だと思っているようです。信じられないかもしれませんが、このビデオを見ている女性の方は、ちょっと思い出してみてください。 男性の運転に少しでも意見しようものなら、相手はムッとするんじゃありませんか。
あなたの自己概念を否定するような人が現れたら、どういう態度に出れば良いのでしょう。 余計なお世話だと腹も立つでしょう。 その人に対し、防御的になり、腹が立ってイライラし、やっていけないと思うかもしれません。 我々は自分の想像力や知性、速読、あるいは体操や他のスポーツをやっているとしたら、それをどのくらい上手くやれるかという自己概念を持っています。 あるいはまた、料理の上手下手、子どもの育て方、部屋の掃除、運転など、すべてです。
それと、どうやって収入を得るかについても同様です。 面白いことに、あなたの収入は自分で決め込んでいる額と10%もくるっていないそうです。 つまり、自己概念は収入の額も決めてしまうのです。 この自己概念のレベルをコンフォートゾーンと言い、仮にあなたがもっとお金を欲しいと思っても、知らず知らずのうちに自分にとってのコンフォートゾーンに落ち着くようにしてしまうわけなんです。 もし、コンフォートゾーンよりも10%か、それ以上収入が多くなると人が落ち着かない気持ちになり、寄付したり、豪遊して無駄遣いをしたり、どこかに落としてしまったりするのです。 宝くじを当てた人も、2、3年後には大抵文無しになるのも、こうした理由からです。 自己概念を遥かに超えたお金を持て余してしまったのです。 反対に、収入が自己概念を10%以上下回る場合、人は焦りを感じ、必死に働き、想像力を発揮し、収入を増やす工夫をしたり、他の収入源を探そうとします。 収入も含めた生活の向上を図るための最良の方法はもっと収入を増やすことを考え続けることによって、収入に対する自己概念のレベルを上げることです。
もし痩せたいと願っているのなら、痩せる方法はただ一つ、痩せた自分の姿を常に想像することです。 もしあなたが誰からも好かれる、より幸せで、感じの良い、活き活きした人になりたいなら、それが自分の新しい自己概念となるまで、常にそうした自分を想像し続けることです。 あとでも触れますが、自分を成功に向かってプログラムすることが大事なのです。 あなたにとって大切な分野で、自己概念が高ければ、全体的な自己概念レベルも向上していきます。
ところで、自己概念は3つの重要部分からなっています。
第一は、自己の理想像、セルフアイデアです。 つまり、自分はこうなりたいという理想像です。 勝利者についての概念です。 自分が成りたいと願う最高の自分へのヴィジョンと使命なのです。 勝利者について、私たちが知っている事実、それは、成功者というのは将来の自分への極めてハッキリした理想像を持っていることです。 それに対して、失敗者は曖昧な理想しか持っていません。
二番目は、自画像、セルフイメージです。 自画像とは、自分をどのように見、どのように考えているかを示すものであり、これは、内なる鏡に写った現在の自分の姿であり、日々の行いを決定付けるものなのです。
第三に、自尊心、セルフエスティームです。 自尊心とは、自分自身の捉え方です。 自分をどう感じているかが、あなたの無意識下のエンジンであり、モーターの役目をするのです。 それは、自己概念の原動力であり、あなたの身に起こるすべてのことを決定します。
自尊心の最高の定義は、自分をどれだけ好きかということです。 自分をどれだけ好きか、親として、社会人として、上司として、労働者として、プロの講演者として、運動選手としての自分をです。 自分をどれだけ好きかという自尊心のレベル、つまり、あらゆる分野における自分の捉え方、感情があなたの行動と業績を決めるのです。 幸いなことに、自分自身の捉え方、自己概念は順応性があるので、自尊心は繰り返しこのように言うことで創られます。
自分が好きだ、自分が好きだ、自分が好きだ。
自分が好きだ、自分が好きだ、自分が好きだ。
このように、自分が好きだ、自分が好きだ、と言えば言うほど、あなたの自尊心は高められ、自尊心が高まれば高まるほど、全体的なあなたの自己概念も上がっていくのです。 そうなれば、あなたは何をやっても上手くいくようになります。 いつでも、自分が好きだ、自分が好きだ、自分が好きだ、と心から繰り返すことは、精神的に自分を押し上げることになるのです。 自尊心を高めるような出来事は、あたな自信を高めます。 自尊心を貶めるようなことは、あなた自身を卑しめ、失敗が増え、不幸になります。
自分がどのくらい好きかという自尊心に関して、大切な点の、第一は、自分を愛する以上に他人を愛することはできない。 自尊心のレベルによって、他の人との友情関係が決まるということです。 第二は、自分を愛し、尊敬している度合い以上に、他人から愛され、尊敬されたいと思っても、無駄ということです。 自分をどれだけ愛し、尊敬しているかが、他人の評価を決めるのです。 本日の心理学者たちも認めているように、どれだけ自分を愛しているか、どれだけ自分を価値ある存在として愛しているかどうかが、人生を大きく左右するのです。 そして、自尊心を高めるには、自分が好きだ、自分が好きだ、自分が好きだ、といつも唱えることなのです。
そこで、次の質問です。 自尊心、あるいは自己概念はどこから来るのでしょうか。 自己概念というのは、強いて言えば、私たちはある固定された自己概念を持って生まれてくるわけではないのです。 私たちは生まれつき自分についての確固たる意識、つまり、自画像や自尊心を持って生まれてくるわけではありません。
つまり、こういう風に言えるでしょう。 私たち平均的な人間は、自己概念を持たず、無限の可能性を秘めて生まれるのです。 今のあなたの持つすべての感情や心構え、価値観などは今までの人生で培ったものです。 子どもたちはみんな、愛とスキンシップをとても必要とします。 しかし調査によると、愛とスキンシップは一生涯必要であり、特に発育期においては重要であることが指摘されています。 というのは、この時期に自分が誰で、どんな価値を持っているか、どんなに賢く、どんなに可愛く楽しい子どもかということを親から教えられるからです。 私たちは、親の態度でそれを知るのです。 両親、兄弟、親戚、とりわけ、どれほどにあなたが大事な子どもかという気持ちが、 両親の態度に表れていればあなたはそのように育つでしょうし、逆の場合は結果も逆になるでしょう。
生後2、3歳までは、自己概念の形成上もっとも大切な時期です。 子どもは、ゼロからスタートするからです。 子どもは、自分が誰かという意識を持っていません。 自分がどんなに価値ある存在か、生まれて数年の間は知らないのです。 昔は5歳までという説もありましたが、今は3歳と言われています。 3歳までに子どもは自分が誰かを認識するのです。 この発育期の数年間に、質量ともに高い愛情を子どもに与えることで、人生の基盤ができます。 自尊心や自信、自己評価への基盤ができるのです。 実際、質量ともに十分な愛情は、健全な人格形成に密接に結び付いています。 発育期に無条件の愛情を受ければ受けるほど、子どもの健全な人格の基盤は強固になります。
逆に言えば、精神障害、ノイローゼ、人格障害や異常行動など、こうした問題の殆どは、みんな子どもの時代の自尊心の破綻から来るのです。 大人になったからでも取り返しは付きます。 大人の人格を考えてみてください。 大人の人格の基盤に入ったひびやわれめは修復することができます。 何度も、自分が好きだ、自分が好きだ、と繰り返すことで、自分の人格の奥深くのひび割れを埋め込んでいくのです。 花には水を上げるように、子どもには愛情がいるのです。 愛されない子どもは、精神的飢餓状態に追い込まれ、愛に飢えて死ぬこともあります。
子どもは注目すべき2つの特質を持っています。
一つは恐れを知らないことです。 子どもは怖いもの知らずです。 転んだり、大きな音がしたとき以外には、何も怖がりません。 これは次のような態度です。 I Can、子どもは、私はできる、と思っているのです。 3歳から5歳までの子どもを育てた人ならおわかりでしょうが、この時期の子どもは、ギャングのようにまったく無鉄砲で、怖さを知らず、冷や冷やさせることの連続です。
もう一つの性質は、まったく抑制が無いことです。 子どもは何でも言いたいことを言い、したいことをする存在で、禁止ということを知りません。嫌なことは嫌なのです。 これは次のような態度です。 したくない、したくない。 子どもをコントロールしようとすると、このことに気づくでしょう。 子どもに何かを命令したとたん、真っ先に返ってくる言葉が、嫌だです。 嫌だ、何でやらなきゃならないの、なのです。 もちろん、最後には何らかの方法で子どもの心を変わらせてはいますが。
ともかくこれが、子どもに備わった2大特徴です。 恐れも抑制も知らないのです。 どういうことでしょう。 もともと恐れと抑制の無い状態が、人間にとって自然な状態であり、このような恐れと抑制を知らない状態を大人になって手に入れることができたとき、はじめて伸び伸びとした開放感を味わうのです。 最高の組織、企業というのは、社員が恐れや抑制を感じることなく、伸び伸びとベストを尽くせるような環境を提供できる会社なのです。
子どもは成長するにつれ、2つの方法で物事を学んでいきます。 一つ目の方法は、真似をすることです。 両親、特に影響力の強い親の真似をしますが、どちらの親が子どもにとて影響力を持つかは、子どもの成長とともに変わります。 それが父親であれ母親であれ真似をすることで学ぶのです。 大人になった私たちが持っている習慣や性格の多くは、親から学んだものです。 あなたは子どもに向かって怒鳴ったり、大声で子どもを叱ったりしたことがありますか。 そのとき、昔親に言われたのとそっくりなことを言っているのに気が付きませんでしたか。 模倣から学ぶのです。 たとえば、親の歩き方、あるいは話し方、価値観、信念など、たとえそれらが、あまり意味の無いものであってもです。 なぜでしょう。 子どもにとって親というものは、神様のようなものだからです。
二つめの方法は、不快な状態や嫌な状況から快適へ移動しようとすることです。 フロイトはこれを「快楽の法則」と呼んでいます。 人は自分をより快適に感じさせ、楽しくさせ、気分を良くしてくれる方へ動くものです。 不快から快適へと動くものなのです。 幼児期にオムツを外すため練習をします。 汚れたオムツのまま動き回るのは不快です。 両親の様子や兄弟を見ると、どうも違ったことをしているようです。 こうして周りを見ることによって、歩き方やいろいろなことを学びます。 不快から快適へと移動していくのです。
ところで、大人になってもそうやって一生学んでいくのです。 他人の経験談を聞いたり、本を読んだり、職場や学校を通して模倣し、より高い報酬を得られる方へ、居心地の良い方へと移動し、不快や痛みからは遠ざかっていきます。
さて、子どもがごく小さいときに、両親が間違った子育てをした場合には、子どもは否定的な行動パターンを身に着けてしまいます。 否定的な行動パターンは、主に激しい叱責によるものです。 激しい叱責は、非常に早い時期、生後2、3ヶ月からはじまることがあります。 このような激しい叱責は、親が子どもをコントロールし、管理しようとするときに良く使います。 しかしながら、これは子どもにとって非常に危険な破壊的な行為です。 こういう激しい叱責は、子どもの持つ健全な人格を損なうことになります。 みなさんの大部分や私も含めてのことですが、激しすぎる叱責で傷ついた人は、戦争で傷ついた人よりも多いと思います。
さて、叱られ通しだと、その刺激に対する条件反射として否定的な行動パターンが形成されます。 否定的な行動パターンは、刺激に対する条件反射です。 それは、激しい叱責や体罰が何度も繰り返される恐怖と苦痛の結果です。 激しい叱責や体罰などが繰り返された結果なのです。 人はごく小さいときから2つの兆候を表しますが、これが一生私たちに付きまとい、成長してからも私たちの可能性を抑圧するものになります。
その一つは、抑圧的行動パターンと呼ばれます。 この抑圧的行動パターンは、次のようにして形成されます。 子ども時代に何度も、あれをしてはダメ、これをしてはダメと言われ、罰を受けることによるのです。 子どもが何か新しいことをやろうとしたり、どこかに入り込んだり、匂いを嗅いだり、何かをぶちまけたり、うっかり物を壊してしまったりすると、両親はすぐに腹を立てるものです。 でも、子どもはいつも好奇心いっぱいで、世界を探検したがっているものです。 そして、実際に探検を始め、どこかに潜り込んだり、何かをぶちまけたりしたときに、両親がカッとして子どもを叩いたりすると、子どもはこう考えるようになります。 何か新しいことを始めよう。 何か変わったことをしよう。 自分を領分を越えたり、自分のコンポートゾーンを飛び出したり、大胆なことをしようとすると、必ず叩かれ、叱られ、傷つき、狭いところへ追いやられ、怖い思いをする。 そして、まもなく、できない、できない、できない、何か変わったことをすると、お仕置きをされるから、できない、できない、できない、となっていきます。 パブロフの条件反射のようなものです。 犬に肉を与えると唾液を出します。 犬が肉を食べている間に鈴を鳴らし続けました。 これを繰り返すうちに、やがて、パブロフが鈴を鳴らしただけで、犬は唾液を出すようになります。 これが、成人した大人の場合では失敗への恐怖を生み出すのです。
失敗への恐怖は、あなたが5、6歳までに受けた激しい叱責に対する条件反射として起こります。 失敗への恐怖は自動的に、イライラ、緊張、不安を起こさせます。 みぞおちに鉛が入ったようになり、物事から逃げ出したくなります。 失敗を恐れることが、失敗を引き起こすのです。 実力を十分発揮することを留まらせる大きな原因がこれです。 事実、消極的な気分になっているときは、ハッキリと肉体にも表れ、ハッキリと感じ取れます。 抑圧的行動パターン、失敗への恐怖、できないという気持ちは、まずみぞおちに感じられるものです。 多勢の前で話したり、給料の査定を受けたり、飛び込みセールスをしたことはありますか。 そんなとき、みぞおちがキュッと縮まる感じがしませんか。 その恐怖が募ると、息が苦しくなって、ハッハとなり、動機が激しくなり、汗がドッと出てきて、 ときには激しい偏頭痛が走り、喉が締まり、舌がもつれ、カラカラになり、あまりの緊張と恐れのために、トイレに駆け込みたくなったりします。 これらはみんな、極度の緊張の表れです。 肉体的危険ではなく、心理的危険に対する条件反射です。 こうした状態になると、人は苦痛から逃れるために、その場から逃げ出したくなるので、成功などおぼつかなくなるのです。
もう一つの否定的行動パターンは、脅迫的行動パターンです。 この脅迫的行動パターンは、子どものときに何度も、こうしなさい、さもなければ大変なことになるよ、と繰り返し言われたせいです。 子どもたちは、言わば、条件付愛情に縛られるのです。 親にそんなつもりは無くても、結果的には、子どもに対し、自分は愛されていない、だから言うことを聞かなければ危険だという感覚を植えつけてしまうのです。 子どもはこう思うでしょう。 ママの言うとおりにしなきゃ、ママやパパの喜ぶようにしなきゃ、みんなの言うとおりにしなきゃ、お兄ちゃんの言うとおりにしなきゃ、そして仕舞いには、先生や仲間の機嫌を取るようになります。 こうして、しなければならない、しなければならない、自分のしたいことではなく、みんなの気に入りることをしなければならない、という脅迫観念を育てていき、これが拒絶への恐怖に繋がっていくのです。 この脅迫的行動パターンは、成人においてA型行動と呼ばれ、この行動についてはまた後で触れますが、A型行動というのは、むやみやたらに、何の行動基準も無く、他人の機嫌を取ろうとする脅迫観念であり、決して自分が満足することはありません。
拒絶への恐怖は、他人の思惑に対して非常に敏感にさせ、自分の欲することはしないで、他人の望むことをさせます。 常に他の人の顔色を伺い、その結果、あまりにも他人の意見や感情、態度に支配され、自分の欲求を否定するまでになります。 拒絶への恐怖は、主に体の後ろ半分に感じられます。 体を前後に分けると、その後ろ半分です。 この恐怖を最初に感じる部分は、大抵肩と首です。 肩や首が凝ったり張ったりします。 ときどき、仕事がたまったときなど、腰に強い痛みを感じます。 腰の筋肉が張ってきます。 ときには、静脈炎や怒張静脈が表れ、しばしば後頭部に強い痛みを感じます。 頭部に血液を送る動脈と、その周りの筋肉が収縮するため、脳にいく血液が減少し、後頭部がズキズキしてくるのです。 これが2つの恐怖と否定的行動パターンです。
脅迫感と抑圧感は、子どものときに受けた激しい叱責が元で身に着いてしまい、これで人格は一生の破綻をきたすことがあります。 しかし、すばらしいことに、これらは後天的に身に付いたもので、消し去ることもできます。 失敗への恐怖は乗り越えられます。 自分の欲求を抑えてまで、他人の機嫌を取ろうとする行動、つまり、拒絶への恐怖も、自尊心を高めることで治ります。 自尊心と否定的行動パターンは、反比例の関係にあるからです。 あなたが自分を好きになればなるほど、失敗を恐れなくなり、自分を好きになればなるほど、拒絶への恐怖はなくなります。 あなたが自分を好きになればなるほど、怖いものはなくなります。 そして、もし、自分が好きだ、自分が好きだ、自分が好きだ、と何度も繰り返し、自分に言い聞かせていると、時間の経過と共に、やがて、あなたの自尊心は次第次第に高まり、恐怖は消えていきます。 自尊心と恐怖は、反比例の関係にあるからです。
では、あなたが批判を与える立場だったら、どういう風に行動を取ったらいいでしょう。 話は簡単です。 多くの人から、子どもをコントロールするための秘訣について質問されましたが、子どもをコントロールする秘訣は、破壊的なことではなく、何か建設的なことをするように薦めることです。 もう一つしていただきたい重要なことは、本当に子どもに役立つ助言と、建設的な助言を与えることです。 つまり、相手が子どもであれ、大人であれ、こうしたら良くなるという方法を示してあげることです。 すべての規範、助言というものは、現状を良くするためにするのです。 もし、誰かが間違ったことや、不適切なことをしていたら、親として、上司として、人間として、その人にどんな形であれ、意見するのは、次にはもっと良くなって欲しいと望むからです。
ただ、自尊心と激しい叱責は、切っても切れない関係にあり、破壊的な批判は自尊心を低下させます。 自尊心が低下すると、実力も衰え、できることもできなくなります。 誰でも長い期間に渡っての激しい叱責が度重なると、最後にはやる気さえ失ってしまいます。 極端に神経過敏になってしまうのです。 このような状態になると、過敏症の人は批判を受け付けようとしません。 こうした人たちは、ちょっとした間違いを指摘しただけでも、異常に緊張し、過剰反応を示します。
こうした人たちと上手にやっていくには、次の4つのことをしてください。 第一に、まず褒めること。 第二に、どんなことがあっても自尊心を傷つけないこと。 第三は、人格と行動を分けて考え、人物ではなくその行いを指摘すること。 そして第四は、過ぎたことではなく、これからのことに焦点を当てること。 起きてしまったことではなく、これからどうしたらいいかを問題にすべきです。 理由は簡単。 起こってしまったことはやり直せないからです。 従って、起こってしまったことをいくら言っても、極端なストレスと挫折を感じるだけなのです。
まとめてみましょう。 成功への秘訣は、積極的な心構えであり、積極的な心構えは、成功を期待し、積極的に成功の原因を創ることにあります。 そして、成功の要因は、その人の信念と自己概念に基づくものです。 人生を如何に生きるかを決定付ける自己概念の中枢には、自尊心があり、この自尊心は、どれだけ自分を愛しているかというものです。 人を臆病にさせる2つの要因は、失敗への恐怖と拒絶への恐怖です。 ですから、人生を成功に導く極意は、常に自尊心を無限に高め続けることです。 日々の生活で、常に自分を高めるような行動を取ることです。 そうすれば、あなたは自分が好きになり、自分を愛せるようになり、自分を受け入れ、尊敬し、自分はすばらしいという気持ちになれます。 もし、あなたが上司や親の立場にあるなら、家庭においても、職場においても、周りのみんながそういう気持ちになれるような環境作りをしていけばいいのだということを忘れないでください。 あなたが、自分はすばらしい、自分が好きだ、と思えば思うほど、あなたの周りの人たちも、自分はすばらしいんだという気持ちになります。 それこそが、卓越した業績を生み出す環境なのです。 人生の大きな成功と達成への第一歩なのです。 さあ、あなたに向かって、自分が好きだ、自分が好きだ、自分が好きだ、と言ってみてください。
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